東堂が死に、彼の組織は瓦解してしまった事を知ったもくれん。
負傷のために入院しているもくれんの元恋人ふゆは、復縁を望んでいた。
「そういえば、姉さん。」
「なあに?」
「姉さんは今年で36歳になるはずなのに、どうしてそんなに見た目若いの。」
「そっか……私、もう36歳になるのね。」
「これは実験の影響。恐らく死ぬまでこのままよ。」
「まじか。」
「惜しかったわ。もっと長生きできたら、美魔女として荒稼ぎしたのに。」
「何だよもー、くだらない……。」
「あはは!いい案だと思ったのに!」
*****
「もくれん、何故私の墓参りを?本物がすぐそばにいるのに?」
「確かにそうだね。」
「でも、辛い時も悲しい時も、支えてくれたのは"この姉さん"だ。感謝くらい伝えさせて。」
「謝らなくていいよ。」
「誰が悪かったとか、もう思いたくないな。」
「(ああ……懐かしいな。"あの人"だ。)」
「(この優しい目……あったかい人だった。"どんな君でも愛するよ"と、抱きしめてくれた人……。)」
「(やっぱり大好きだ。エドワードさん。)」
「今はまだ、あなたのやった事を許す気になれない。でも、感謝してる。」
「一瞬でも愛してくれて、ありがとう。」
「俺の大好きな人達と巡り逢わせてくれて、ありがとう。」
「……姉さん。今度誕生日会を開こうよ。」
「私の?」
「そう。ちとせと、ふゆも呼んでみるよ。」
「嬉しいわ……ようやく帰ってこられた。」
「うん。おかえり、姉さん。」
「東堂さん、お願いがあるの。」
「……何だ。」
「私が死んだら、子供達を見守るでもなく見守ってほしい。」
「複雑だな。」
「ごめんね。でも、あなたが子供達と出会うと、きっと私の過去を知ってしまう。それは酷だわ。だから遠くから見ていてあげてほしい。」
「お前は、それでいいのか。」
「……。」
「東堂さん、私は、子供達の分の不幸を背負って死にたい。」
「だから、私のことなんて知らなくていいのよ。ただ笑って、穏やかな日々を過ごして欲しいの……。」
「ふふ。」
「分かった、約束しよう。」
「ありがとう、東堂さん。」
もくれんのお話は、これでおしまいです。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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