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2023年1月21日土曜日

12:感謝を伝えに (終)

event_note1月 21, 2023 forumNo comments

〜前回のあらすじ〜
東堂が死に、彼の組織は瓦解してしまった事を知ったもくれん。
負傷のために入院しているもくれんの元恋人ふゆは、復縁を望んでいた。



「そういえば、姉さん。」

「なあに?」



「姉さんは今年で36歳になるはずなのに、どうしてそんなに見た目若いの。」

「そっか……私、もう36歳になるのね。」



「これは実験の影響。恐らく死ぬまでこのままよ。」

「まじか。」

「惜しかったわ。もっと長生きできたら、美魔女として荒稼ぎしたのに。」



「何だよもー、くだらない……。」

「あはは!いい案だと思ったのに!」



*****


「もくれん、何故私の墓参りを?本物がすぐそばにいるのに?」

「確かにそうだね。」




「でも、辛い時も悲しい時も、支えてくれたのは"この姉さん"だ。感謝くらい伝えさせて。」



「そ、そのはずよね。ごめんなさい、私……。」

「謝らなくていいよ。」



「誰が悪かったとか、もう思いたくないな。」












「(ああ……懐かしいな。"あの人"だ。)」



「(この優しい目……あったかい人だった。"どんな君でも愛するよ"と、抱きしめてくれた人……。)」



「(やっぱり大好きだ。エドワードさん。)」



「今はまだ、あなたのやった事を許す気になれない。でも、感謝してる。」



「一瞬でも愛してくれて、ありがとう。」



「俺の大好きな人達と巡り逢わせてくれて、ありがとう。」









「……姉さん。今度誕生日会を開こうよ。」

「私の?」

「そう。ちとせと、ふゆも呼んでみるよ。」

「嬉しいわ……ようやく帰ってこられた。」

「うん。おかえり、姉さん。」






















「東堂さん、お願いがあるの。」

「……何だ。」




「私が死んだら、子供達を見守るでもなく見守ってほしい。」



「複雑だな。」

「ごめんね。でも、あなたが子供達と出会うと、きっと私の過去を知ってしまう。それは酷だわ。だから遠くから見ていてあげてほしい。」




「お前は、それでいいのか。」



「……。」


「東堂さん、私は、子供達の分の不幸を背負って死にたい。」



「だから、私のことなんて知らなくていいのよ。ただ笑って、穏やかな日々を過ごして欲しいの……。」



「……あいつらは、いい母親を持った。」

「ふふ。」

「分かった、約束しよう。」




「ありがとう、東堂さん。」







もくれんのお話は、これでおしまいです。

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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