シェリーの実験なしでは10年ほどしか生きられないもくれんの姉、蘭子。それでも弟妹と共に生きる事を選択し、シェリーは泣く泣く身を引いた。
1週間後、もくれんはシェリーに腹部を撃たれて入院中の元恋人、ふゆの元を訪れた。
「わざわざ来てくれたんですね。」
「そりゃ来るよ……面会できるようになって良かった。傷はどう?」
「俺はもう元気なんですが、東堂さんのいない組織は内部分裂してしまったようです。」
「!」
ふゆ「元々、ボスが統べるようになってからは組織のシムを沢山切り捨ててきたらしいので、因子は明らかにありましたが……。」
ふゆ「それでもやっぱり、誰かが作り上げてきたものが壊れるところを見るのは胸が痛いです。」
「あなただから言いますが、俺も部下のフォローだけしたらカマシかけて逃げるつもりです。」
「ふゆ。」
「はい。」
「ごめん!!君の大切な職場とボスを、俺の身内が台無しにしてしまった!本当にごめんなさい!」
「ちょっと!」
「ひがしさん、やめてください。あなたは何も悪くない……。」
「でも……。」
「どのみちこうなる運命だったんです。受け入れてはいますから。」
「いや……。」
「本当に気にしていません。それよりも久しぶりにあなたと話せるのが俺は嬉しい。」
「俺があなたを引っ掻いてしまった時の傷……あれはどうですか。」
「あんなの本当に大したことじゃない……もうとっくに治ったよ。見る?」
「えっはい。」
*****
「あの時は痛かったけど、放っておいたら塞がったんだ。もう薄いだろ。」
「痛くはありませんか。」
「全然。」
「ああ……良かった……。」
「……痛み分けみたいになっちゃったな。」
「─ひがしさん。」
「おわっ。」
「あの時、引き金を引かないでくれて、ありがとう。」
「あなたは強い。俺が守るなんて、最初から烏滸がましい考えだった。」
「ふゆ……。」
「ひがしさん、俺にやり直すチャンスをくださ─」
???「お邪魔しまーす!」
さねゆき「いよう!ふゆ!調子はどう─」
ちとせ「ふーくん〜お兄ちゃんと死んだはずのお姉ちゃんが色々ごめんn─」
「「「あ。」」」
「えーっと……。」
「「……。」」
「部屋、間違えました。」
ふゆ「乗り切れない。乗り切れないよ。」
「確かに……怪我人は抵抗しないから効率的だ……。」
もくれん「何の"確かに"!?」
さねゆき「じゃ、ごゆっくり……。」
ふゆ「待てさねゆき!せめて釈明の余地を!」
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
本当にあと少しです!
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