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2023年1月19日木曜日

10:決別

event_note1月 19, 2023 forumNo comments

~前回のあらすじ~
シェリーがもくれんの異母兄である東堂禅を殺した理由は、蘭子を自身の所に留まらせるためであった。


 

「あなたも、大事な人を失いたくなくて私を踏みつけた。動機は私と何も変わらないわ。」



「これでも、私が間違っていると言えるの?」

「.......ああ。」



「.......間違ってるよ。あなたは姉さんを守りたくて動いたんじゃない。」



「姉さんはあなたの元を離れて、前に進もうとしていた。それをこんな事してまで阻もうとするのは、あなた1人の身勝手だ。」



「俺は確かにあなたを殺そうとした。それは謝る。だけど、姉だけは真っ当に、死なせてあげてほしい。



─シェリー、僕が君のお母さんを東堂家に売ったのはね、僕じゃ駄目だったんだ。完璧な存在を産み出すのに、僕は相応しくなかった。



─代わりに僕が選んだのが東堂だ。あの一族は良い.......生まれ持っての求心力に、厳しさと人情が備わっている。



─どうにかあそこと交配できれば、きっと完璧な子供が産まれる。そうなったら僕は何と引き換えにしても子供を手に入れ、研究を再開する。



お父様の計画は、順調に進められていたのね。
私という、失敗作を差し置いて.......。



*****


「蘭子、あなたはここでは10年生きられるかどうか、私の計算が間違っていれば、もっと早い。それでも、ここがいいの?」



「十分よ。私は、ここであなたの分までケジメをつけなければ。」

「そう.......。」



「自分だけ残りの人生を真っ当に生きて、真っ当に死ぬつもりなのね。」



「ずるい.......。」





「え?」




*****


「じゃあね、蘭子、もくれん。」



「せいぜい私を差し置いて早死になさい。」



「ばいばい、シェリー。」

「......。」




「......なんであそこから?」

「シェリーは強いから、エレベーターよりも落下したほうが早いのよ。」


*****




あれから1週間。
すべてが終わったようでいて、まだ片付いていないことが山積している。



シェリーさんの罪は未だ雪がれていない。
俺たちはまだ、あの血生臭い部屋を忘れるのは許されていない。



「.......どうぞ。」




あと少しです!

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