ようこそ!

2023年1月10日火曜日

2:漂着

event_note1月 10, 2023 forumNo comments

 

 (シムが亡くなったことを示す表現が何度かあります。ご注意ください。)(2回目)
~前回までのあらすじ~
母を失い、身を寄せるところがなくなってしまったもくれん達姉弟。
手を差し伸べてくれたのは心優しい男性。もくれんが"あの人"と呼ぶ彼は、もくれん達を実子同様に養育することを誓った。
しかし2年後、不幸にもその屋敷で大火事が起こった。



「う、嘘でしょ?」



「もうこんな所まで火が.......。」

「火災時の非常口に急ぎましょう!!」



深夜に強い痛みで目を覚ましたら、周囲は真昼のように眩しく、俺とちとせは姉に抱かれていた。
姉は火の粉を振り払って屋敷から脱出したが、外には誰もいない。嘘みたいに静かだった。



「姉さん、ひとまず逃げようよ!そしたら山を下りて近くの人に電話を借りるんだ!」

「.......。」

「姉さんってば!」



「私は行けないわ......。」



「もくれん、ちとせを連れて先に行って!すぐ追いつくから。」




「!?何言って......。」

「私はまだ、ここでやり残したことがある。」



「早く行って!!周りの木に燃え移ったらおしまいよ!」

「なんで!?嫌だよ!一緒に逃げようよ!!」



「─もくれん、あなたは真っ当に生きて、真っ当に死んでね。」



「待って!!!姉さん!!!」

あの時の俺は、姉さんを追いかけられるほど勇気もなくて、腕も足もひどく痛くて、ただ屋敷の前で泣いて消防隊を待った。



気が付いた時には病院のベッドの上で、部屋の外からは残酷にも、俺たちの次の養育先の話が聞こえてきた。その時には姉も、"あの人"ももういない事が確かになってしまった。



その後はずっと、藤田京子の下で暮らした。
たまたま病院にいて俺たちを見かけ、引き取る決意をしたというのが本人から聞いた話。



"あの人"に比べて、京子さんは粗暴だし、厳しかった。
妹のちとせはベタベタに甘やかされたけど、俺はそうじゃなかった。



「京子さん、今いいですか?」



「宿題、分からないところがあるんですけど.......。」



「ゔわ!銃?本物ですか.......!?」

「そうだよ。お前撃ってみろ。」



「え!?嫌ですよ!この平和な世界でこんなもの.......。」




「ははは、何聖人みたいなこと言ってんだ!いいから撃て!お前も漢になるんだ!」

「嫌ですって!」



「分かった、じゃあこれから何撃っても支障ない所に連れて行ってやる。見て覚えろよ!」

「何撃っても支障ない所!?」




本当にめちゃくちゃな人だった。でも、京子さんが生きていた間は退屈することもなかったなぁ.......。



「(えーと東蘭子、東蘭子........あれ、人がいる。)」






今回もお付き合いくださり、ありがとうございました。

続きます!

にほんブログ村 ゲームブログ ザ・シムズシリーズへ
にほんブログ村

0 comments:

コメントを投稿