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2023年1月9日月曜日

1:あの人

event_note1月 09, 2023 forumNo comments

 (シムが亡くなったことを示す表現が何度かあります。ご注意ください。)





1年の中に1日でもしっかり意識している日があると、時の早さをより深く実感する。

「今年も無事に祝えそうだよ。」




「誕生日おめでとう、姉さん。」




姉さんは今日で、生きていたら36歳になる。
成人できずにいなくなってしまった姉さん。もう以前ほど悲しくもないけど、今日は特に、あの時の記憶を振り払えない。




寂しくてたまらなかった時期に、彼女ごと封じ込めてきた記憶。そろそろ蓋を開けるべき時だ。



「─あの、住む所を提供していただけるのはありがたいんですが……。」




「私まで、本当によろしいんですか?」



「私は、ちとせともくれんさえ預かっていただければ、お世話にならなくともなんとかやっていけます。この子たちだけでも無事でいてくれたら……。」



「いやぁ、その年でこうも慮ることができるなんて感心するよ!もちろん君もおいで、部屋を用意しているよ。」



「君たちのことはこれから、シェリーとクラウンの血を分けた兄弟と思うよ。」



『あの子達も君らを歓迎しているよ。さ、中へどうぞ!』




姉さんが13の時、俺たちの母親は亡くなった。病気を患っていたわけでもないけれど、体が弱かったせいで寿命尽きたように静かに息を引き取った。



あの人に引き取られたのはまさに偶然。ちょうど母が亡くなった時と、あの人がファミリーホーム事業を始めた時期が被ったんだ。



最初はもちろん身構えていたけど、あの人の屋敷を包む空気は優しかった。
2年も経たないうちに、俺たちはれっきとした家族になった。



姉弟揃って引き取ってくれたこと、惜しみなく愛情をかけてくれたこと、俺は大きくなってから、この家に恩返しをするつもりでいた。



あの日、たった1度の火事で何もかも失ってしまう時までは。



今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
続きます!
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