〜前回までのあらすじ〜
友人ひすいを言葉で傷つけた主人公ジョセフ。1人罪悪感に苛まれていると、ジョセフに好意を寄せるクラスメイトが姿を表した。
「ひすいと喧嘩してるんだって?もっぱらの噂だよ。」
ジョセフ「喧嘩じゃない。悪いのは僕だ。」
「自分が憎くて、もうしんどいよ。ひすいの持つ、誰かを好きである気持ちに共感できない自分が……。」
「ホリー、君はどうして、僕のことなんか好きになったの。」
「あ……っそう。もうバレてるんだね……。」
「じゃあもう全部言うね、私、君のことなんて好きになりたくなかった。」
「?君が、選んだことじゃないの。」
「違うよ。私だけど、私じゃないの。」
「だってさ!好きになる人選べるなら、こんなに辛い思いしてまで君の事、好きでいないよ……本当、自分でも訳わかんない!!」
「─ホリー。」
「何!?」
「僕は……僕は間違っていた。」
それから、ジョセフは私に頭を下げて、"伝えなきゃ"とか何とか言って、さっさと体育館を出て行った。
本当に最低……でも、今も、彼がもう悩まずに生きられることを、心から願っている。
「伝えなきゃ……!」
「危な……廊下を走るなよ!」
「ご、ごめ……でも僕、ひすいに言いたい事が……!」
「言いたい事?……ひすいに?よく分からないが家には行くなよ。」
「!?何で……でも、どうしても今すぐ話がしたいんだよ……もし1人で辛い思いをさせていたらと思うと……!」
「もしかして……聞いてないのか?」
「だから、何g」
「ひすいは牡蠣にあたって出席停止になったんだよ!」
*****
「……という訳で、来たんだ。」
「正気かコイツ。こちとらノロだぞ。」
「あのねひすい。聞いて欲しいことがあるんだ……。」
そして僕は、自分が誰の恋愛感情も受け付けられないことを彼に打ち明けた。
「一緒にいてあんなに楽しかったのに、僕は歩み寄ろうともしなかった。そのせいで、お互いの苦しみも、何も知らないまま、ただ傷付けた。」
「─僕のことを、こんなおかしい奴のことを、理解しようとしてくれてありがとう。これからは君のことも、教えて欲しい。」
*****
僕の拙い謝罪の言葉を、ひすいは黙って聞いてくれた。
もしかしたら体がしんどくて何も言えなかったのかもしれないけど、その可能性は無視しようと思う。
数日後。
「見ててくれジョセフ。出席停止期間の特訓の成果を。」
「素直に寝てなよ……。」
「よっ。」
「すごい!腕を上げたね!」
「妙なところで器用だな。」
あれから、僕らはヨウスケ・ミラーを誘って3人で遊ぶようになった。
2人の関係がどう変わっても、僕は友人として見守る覚悟でいる。
いまだに彼らには共感できないところもある。だから僕たちはこれからも、お互い受け入れられないところと、分かり合える境界を足探りで歩いていく。
求めていた穏やかな生活とはかけ離れている。でも意外なことに、こんなに不安定な信頼関係も心地いいんだ。
ジョセフのお話はこれでおしまいです。今回もお付き合いくださり、ありがとうございました!
くぅ疲みたいな締め方をするな。
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