〜前回のあらすじ〜
他人の恋心に不快感を感じてしまう主人公ジョセフ。
仲間だと思っていた友人ひすいは、同性のスクールメイトに惹かれていたことを悟る。
「ジョセっちゃん。今日遊ばない……?」
「ごめん無理。」
結局、狂っているのは僕1人だった。勝手に期待した自分も悪いけれど、まるで裏切られたかのように気分が沈む。
だから僕はまた、自分を暴かれないためにも壁を作った。ひすいともしばらく距離を置けば、あちらから近づいてくることも、もうなくなるだろう。
「ジョセ〜〜……あっ大将。赤点者の補習もう終わったの?」
「うるせー。赤点者言うな。」
幸い、ひすいの周りにはいつも誰かがいた。友達もたかが1人減ったところで、彼が傷付くことはない。
それにしても疲れた……。
元々人といるのは得意じゃないのに、どうしてこんなに悩まされる羽目になったんだろう。もっと早く、こうしておけば良かったのに……。
もっと早く……。
「いや〜足速いっすね〜。お前競歩やったほうがいいよ、競歩!」
「あのー冗談はさておき……追いかけ回して悪かったよ。俺、ジョセフに謝りたいと思ってたんだ。」
「その……何で怒らせちゃったか分からないけど、ごめん。分からなくてごめん。」
「……。」
「でもさ、これからジョセフのこともっと、理解したいと思うから……」
「『理解したい?』」
「え?」
「やめてよ、それが一番迷惑なんだ……!」
「僕は君に理解して欲しいなんて頼んでないし、近づいてきてほしくない!もうこれ以上、君を気持ち悪いと思いたくない!」
「ジョセフ、それどういう─」
「言葉の通りだよ!君、ヨウスケ・ミラーのこと好きだろ?おかしいと思わないの?」
「僕には君の気持ちも理解できない!だからそんな君に理解されたくもないんだよ!」
「─ねぇ、あれヤバくない?」
「ケンカ?正門の中庭で?」
「ちょっと、王子どうしたの。珍しく荒ぶってる。」
「ヨウスケって……隣のクラスの?そんな関係だったの?」
「ジョセフ……。」
「やだ怖ーい。」
「……。」
「……確かに、ジョセフからしたら訳わかんないよね。」
「俺自身も正直、訳わかんないもん。」
「理解したいとか軽率に言ってごめん。じゃね。」
******
言いすぎた。
おかしい。ひすいのことも自分のことも、傷つけないために距離を置こうと思っていたのに……。
「ただいま。」
「おっ!おかえり息子よ。父さんの新しい彼女を紹介しよう。」
「!?この間の人は……。」
「あーあー!彼女には秘密にしてるんだから!」
「ねぇ、子供はいないって言ってたじゃない。」
「そうだったかな?まぁ俺に似てイケメンだろ?」
「お父さんは、お母さんのことを、もう忘れちゃったの?」
「?」
「きっと僕が忘れてしまったら、お母さんの事は誰も思い出さないんだろうね。」
どうしてお父さんは、あんなに綺麗だったお母さんとの思い出を、肉欲で塗り替えようとするんだろう……。
今回もお付き合いくださり、ありがとうございました。続きます!
ようやく続きが書けました。
すぐ脱線するから……。
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