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2021年12月26日日曜日

最終話:春

event_note12月 26, 2021 forumNo comments

 



あらすじ
配偶者を殺したのは、ワイアットに時空移動の能力を与えた別世界の彼であった。
動揺したワイアットは、崖から足を滑らせて転落してしまった。




─僕の配偶者が亡くなってから1年。
あの日と同じく、今日も吹雪だ。



「ああワイアット……1人で生きるのは辛いよ……。」










「……かずひろ。」



「……ワイアット?」



「……まさか。」



「違う、俺は別の……!」

「ワイアット!」




「どうして、いなくなったりしたんだよ……!!」



……まだ時空移動の力が残っていたようだ。俺は、この世界のワイアットじゃない。




それでも今は、この手を離したくない。



結果的に最も残酷な世界線に来てしまったが、別れを選ぶ勇気なんてもうなかった。
これから俺は、死んだワイアットの影として生きるのだろう。それでいい。2人で生きられるのなら、どんな形であっても構わないんだ。


*****



「まったく。どうしてあれほど動揺できるんだ……。」



「分からないのか。人の命を奪っておいて。」

「……っ!」



「ぐ……は……っ!!」



「は、離せ……!!」



「お前も同じ苦しみを味わせてやる。といっても計り知れないだろうな。あいつらの痛みは。」



「少し時空に歪みができた程度でどうしてシムを殺したりできる!?お前には心がないのか!?」



「そんなもの、ある訳ないだろう……!自分の世界線も持たない俺に、お前らの心理など理解できると思うか……!?」



「待って、別世界のワイアット。それ本当?」



「じゃあさ、この世界が春になるとどうなるかは知ってる?」

「そんなもの知らない……。ひとつの地点に長居したことはない!」



「へぇ〜それはもったいない!うちの世界線はここのご近所だから分かるんだけど、ここの青空はきれいだよ。それに暖かい。」



「ここはもう終わるだけの世界線だ。だからさ、崩壊するまでならお前の世界にしてもいいんじゃない?」



「知ってみなよ。配偶者を助けるためだけに身を削ったあいつの心を。」



「……こんなことをしたら、お前の世界線も危ないぞ。」

「いいんだそれは。いつかお前とあいつが報われることを願っているよ。」



ワイアットの旅は、また続いていく。俺がこの時と同じように、ワイアットに手を差し伸べてしまうことによって。




「もう1度、会いたくはないか。」





長くなりましたが、ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。




さ、年明けまでふざけますよ!

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